お客様インタビュー|ウィン 様

Win Lae Pyae Ooさんプロフィール

  • 国籍: ミャンマー
  • 性別: 女性
  • 年齢: 31歳
  • 在留資格: 「技術・人文知識・国際業務」
  • 日本語能力試験: N2合格

 

マンダレー大学の大学学部及び大学院にて、生命科学を専攻した優秀な人材。
京都の町家文化とミャンマーの文化の融合の担い手となる、合同会社友心町家にて、気心知れた社長の栗原さんの元、国内外への情報発信にも努めておられます。

 

Win Lae Pyae Ooさん|インタビュー

行政書士 泉(以下 泉):最初の質問です。日本に行きたいと思った最初のきっかけを教えてください。

ウィン 様(以下 ウィン):私は子供の時から、日本だけでなく、外国の映画、ドラマやアニメを見て、その国の単語を学んだり、自分の国と違う文化に興味を持ったりしてきました。大学生だった2017年の頃、外国語を勉強しようと思いました。その時は、ミャンマーでは日本企業が増えてきて、日本語が若者の間でブームになりましたので、日本文化も人気になってきて、日本語を勉強する人や、日本に行く人も多くなりました。それを見て、私も羨ましいと思い、日本語の勉強を始めました。そうして、だんだん日本に興味を持ってきましたので、日本に行きたいなと思うようになりました。

泉:日本のドラマや映画で、何か印象に残っているものはありますか?

ウィン:日本のドラマを見て、あまり面白いとは思いませんでしたけれども、子供の時から日本のアニメが好きでした。自分の国と比べたら、全く違う文化が見られますので。

 

泉:日本語の勉強は、どのようにしてこられましたか?

ウィン:ミャンマーに漢字がありませんので、漢字は特に単語を書いて練習したりしました。それから、さきほど言ったようにドラマやアニメを見て、聞き取りの練習をしてきました。

泉:書いて練習するというのは、何か漢字がテキストにされたものはあるのでしょうか?

ウィン:そうです。漢字用のテキストがありまして、それをひたすら書いて練習しました。

泉:書くのと読むのとでは、やはり書くほうが難しいですか?

ウィン:漢字を書くのが難しかったです。いままで、書けない漢字が沢山ありました。
とはいえ、読むのも難しいです。時々漢字を見て、意味は分かるのに、全然読めない時もあります。

泉:確かに、書くほうのハードルが高いですよね。ひらがな・カタカナは大丈夫でしたか?

ウィン:はい、大丈夫です。ひらがなとカタカナは全部勉強して、すぐに覚えられました。
ひらがなは大丈夫でしたけど、カタカナは…英語や、名前を書くときはすごく悩んだりしました。外国人は名前をカタカナで書くではありませんか。

泉:うまく発音がない場合もあり、ちょっと近い発音で表現するので、難しいですよね。

ウィン:はい、日本語では発音がない時もあります。

 

泉:今も勉強中だと思いますが、日本語のレベルアップのために、工夫されていることはありますでしょうか?

ウィン:自分なりの工夫というのはありませんが…(笑)
強いて言えば、私は今仕事をしていますので、勉強する時間はあまりありませんが、映画やドラマを見て、分からない言葉がありましたらメモしたり、後で調べたりするようにしています。携帯でメモしておくと、どこに行ってもすぐに見られます。

泉:調べるときは、ウェブ検索するのでしょうか。それとも、アプリなどを使いますでしょうか?

ウィン:ウェブ検索するのが速いかなと思います。検索すれば、日本語で説明してくれますので、もっと理解できると思います。

泉:仕事で、分からない言葉が出てくるかと思いますが、そういう時も同じようにされていますでしょうか?

ウィン:そうですね。職場で分からない時は、日本人の方に直接、「これはどういう意味ですか」と聞いて、しっかりと覚えたり、実際にその言葉を使ってみたりしています。

泉:なるほど。そういうことですね。
栗原さん、ウィンさんは使えていますか?(笑)

栗原 様(以下 栗原):はい。ただ、分かっているのかな、分かっていないのかなという時もあって、分かっているような感じかなと思う時がありますね。
私も、そこまで難しい言葉は使わないようにしているつもりです
何か分からないことがあったら聞いてね、と常に問いかけています。
ただ、どうしても言いたいことを一気に言ってしまいそうになることはあります。こちらは早くしたくて、いつも「はい、次ぎ」という感じで仕事をしますよね?
もしそれについてこられなかったり、「もう嫌だ、分からない」という風になったりしたら、困りますので、そうならないように、ある程度分からなくても、分からないままでも仕事をしていったら、そのうち分かってくるでしょうという全体的な感じで進めています。
今は、ウィンさんと一対一ですが、もう一人や二人がいて組織となったら、少し違ってくると思います。

 

泉:留学生だった頃、体力的なものだったり、授業の配分だったり、メンタル面だったりと、アルバイトと授業の出席を両立させるのは大変だと思いますが、どのように両立してこられましたでしょうか?

ウィン:そうですね。日本語学校と比べたら、京都外大は朝から夕方まで授業があり、アルバイトをする時間がなかなかありませんでしたので、アルバイトは土日にしかできなかったりします。そして、宿題も多かったので、夜はアルバイトに行っても、宿題がまだ終わっていないという気持ちになります。ですが、週に1、2回ぐらいは、学校に通いながら、授業が終わってからアルバイトに行ったりしていました。宿題があったら夜遅くまで勉強していました。宿題さえなければと思いました(笑)。

泉:宿題は大変でしたか?

ウィン:はい、大変でした(笑)。作文など、大変でした。
留学生なら、たしか一週間に28時間以内であれば、働いても大丈夫だと思います。ルールを守りながら勉強していれば、誰でも大丈夫だと思います。

泉:28時間は勉強と仕事を両立するには、ちょうどいい時間なのかもしれませんね。

泉:今回は「技術・人文知識・国際業務(以後「技人国」)」で1回不許可になって、再度チャレンジということでうちに来られましたが、技人国で再チャレンジ以外にも、例えば、特定技能、経営管理、またはさらに留学など、探せば他にも様々な方針があると思います。その中で、迷うことはありませんでしたか?

ウィン:ありました。特定技能、と迷いました。日本の専門学校にも行きませんでしたので、会社に入るのは無理なのかなと思いました。色々な人に聞いたりしましたが、採用はできても、ビザの申請は難しいと聞きましたので、特定技能でいいかなと。

泉:特定技能ですと、学歴のある方は何かランクが落ちるように思う方も結構いらっしゃいますけれども、そういうことは思いませんでしたか?

ウィン:そういうことは思いませんでした。仕事ですから。

泉:中には特定技能をちょっと下に見ている人もいて、技人国を申請できるのなら、技人国がいい、もったいないと思う人のほうが多くて、技人国にこだわって失敗するという人もかなり見てきました。実際はそのようなことはないのですが。逆に、特定技能で、やりたい仕事で就職するということができるようになりました。ただ、5年という制限がありますので、皆さんはそこが気になっていると思いますが。

ウィン:そうですね。5年の後はどうなるかが不安でしょうね。

泉:短いスパンと長いスパンでの目標というのはありますでしょうか。例えば、N1を取る、結婚するなど、いろいろとあると思いますが、何かありますでしょうか。

ウィン:目標は、今はN1を目指しています。それから、仕事を色々と頑張りたいと思います。仕事がうまくできるようになりたいです。

泉:なるほど。仕事で、何か夢や目標は、ありますか。例えば、ミャンマーに支店を作りたいなど。

ウィン:そうです。あります。

泉:ありますか(笑)。それは社長も希望されていますものね。

栗原:ミャンマーに関係することで、社会情勢は色々とありますけれども、その中でもせっかく良い人材なので、何かは出来るかなという思いがありました。
大きな商売はできないかもしれないけれども、そこそこな、関係を続けていくほどのことができたらいいなと思います。そこまで大きな売り上げになるというよりも、繋がりを大事にして、そのうち何か変化が起こった時に備える感じですね。ウィンさんにしても、やはり姉妹や親など家族が心配でしょうからね。

 

泉:今の仕事内容を教えてください。

ウィン:仕事内容は、先ほどにも話題になったように、これから友心町家が動く際にミャンマー・日本間の窓口を担当することや、オンラインサロンの企画・実施および日本を発信することなどが挙げられます。それから、京町家シェアハウスの管理もしています。あと、ミャンマー関係のイベントを企画することも仕事の一つです。

泉:次のイベントはいつ頃開催されますか?

ウィン:来週です。来週は、ミャンマー料理会を開催します。

泉:ウェブ配信もされているとのことでしたが、今は日本国内だけでしょうか。ミャンマー向けはまだですか。

栗原:ミャンマー向けといいますか。この間、たまたま、タイの国営放送のテレビ局が取材に来たのです。京町家がテーマで、京都を取材するということで、うちにもきました。その番組が放送されまして、インタビューには日本語が出ていますが、もともとはタイ語と英語しかありませんので、それをミャンマー語に翻訳してもらっています。なぜ私のところに取材に来たのかといいますと、うちはタイのチーク材などの壁材を使ったりしていて、そういったアジア的なタッチもあって、さらに、私自身もミャンマーに住んでいたことがあり、現地の素材でリノベーションもいろいろと手がけたことがありますので、日本に帰ってきてから今の仕事をしています。そういう話の流れで、ミャンマーについて触れていますので、ミャンマー語に訳して、ミャンマーの人にも日本の事を知ってもらいたい、京町家のことを知ってもらいたいということで、ウィンさんに番組を翻訳してもらおうかなと思いました。

泉:それをどのようにミャンマーに配信しますでしょうか。

栗原・ウィン:YouTubeです。

泉:なるほど、YouTubeはミャンマーでも見られるのですね。

栗原:ほかにも、オンラインサロンで、ミャンマーの人も興味を持ちそうな話題がありましたら、翻訳してもらおうと思っています。

ウィン:YouTubeでもオンラインサロンの配信を見られますし、今はブログも開設していますので、そちらからも近況報告など情報発信できます。

 

泉:社長の前で言いづらいかもしれませんが、友心町家さんで働こうと決意したきっかけ、または理由は何でしょうか?

栗原:ちょっとあちらに行きましょうか(笑)。

ウィン:大丈夫です(笑)。以前から、学校の先生にも、社長さんが良い人だと紹介していただていますので、それなら信頼できるではありませんか。外国人の場合、日本で就職する時は、会社を信頼することがなかなか難しいです。そして、以前から、ラペイエ(友心町家が経営するサロン)でアルバイトしてきましたし、シェアハウスで一緒に住んでいますので、よくわかっていますし、この会社なら信頼できると思いました。それが一番いいことだと思っています。あとは、ミャンマー関係の仕事をしていますので、ミャンマーと日本との架け橋になりたいという自分の将来の夢が実現できると思いました。

栗原:私が答えるタイミングではないかもしれませんが、そこがマッチしているのです。私もミャンマーと日本との架け橋になりたいと思って、ずっと粘ってやっていますね。それが1人ではなく、信頼できるミャンマーの人がいないと出来ません。そういう意味でウィンさんとは想いがマッチしていますし、いい出会いになったかなと思います。私もいつまでも現役でいられませんので、ウィンさんに新しい時代に事業を続けてもらいたいなと思っています。
ですので、ビザが許可になって、本当に良かったです。ありがとうございました。

泉:いえいえ。私も、本当にこれから発展させようと思った時に、補助者の孫(ソン)がうちに来てくれましたので、それがありがたかったですね。これは1つの縁だと思っていますので、縁は大事にしたいですね。

 

泉:在留資格の申請の時は、やはり心配でしたか?

ウィン:そうですね。心配でした。留学ビザを申請した時も心配でした。就労ビザを申請する時も、自分がこのビザを申請できるのか、専門が違いますし、日本の専門学校にも行っていませんので、ビザを取得できるかどうかが心配でした。

泉:帰国するかもしれないということも考えましたか?

ウィン:そうですね。はい。取れなかったら、帰国しかないという不安がありました。

泉:それはそうですよね。ビザが下りるまで長かったですし、そこは心配だと思いますよね。

 

泉:ミャンマーの人だけでなくてもいいですが、これから在留資格を申請したり、就職しようとしたり、日本に来ようとしたりする後輩の外国の方向けに、何かアドバイスや伝えたいメッセージはありますか?

ウィン:アドバイスはいっぱいあります。就職活動で会社を決めるときは、非常に悩むこともあると思います。そういう時は、きちんと会社の情報を調べたほうが良いと思います。外国人が仕事できる雰囲気になっているかどうか、が一番大事なことです。雰囲気の良い会社であるかどうかは就職活動の時は実際分かりませんので、きちんと調べたり、先輩によく聞いて相談したりしてほしいです。分からないことがあると、ビザ申請の時もとても不安でしょうから、行政書士に相談したりしたほうが良いと思います。安易に自分でやろうとすると、間違いがいっぱい出ます。それから、ビザの申請で何もしてくれない会社もいっぱいあります。そのような会社には入らないほうが良いですので、しっかりと相談してから決めることです。色々な会社があり、例えば、大きい会社ですと、外国人にとって、周りがみな日本人の中で仕事することが不安かもしれません。いい雰囲気になれるかについても不安ですし、もし、いじめにあったらという不安もあると思います。仕事ができても、そうしたことがあったら、安心して生活できません。

泉:それは口コミなどを見るのでしょうか?あとは、先輩に話を聞くのが一番かもしれませんね。

ウィン:そうですね。「この会社から内定をもらえました。どうですか」、あるいは、「会社のことが分からないから、どうやって調べたらいいですか」などと、先輩に聞いてみるといいです。または、専門学校に通っている人なら、学校の先生に相談するのもいいですね。日本人の方でしたら日本の会社のことはよく分かりますし、調べてくれると思います。
「採用してもらえても、これこれこういうことが不安です」などと、相談できます。

泉:そうですよね。ただ、なかなか不安を直接表現できない人も中にはいると思います。本来ならばそのような人が言いやすいように、環境を作ってあげないといけないと思いますが、

栗原:例えば、うちで開催するミャンマー料理の会のように、集まりを作って、相談のために来てくださいというよりも、自然な感じで、久しぶりに会いましょうと誘って、普段食べられないミャンマー料理を皆さんで作ってお食事するという流れの中から、自然と相談することもできると思います。

ウィン:情報交換もできます。

栗原:ウィンさんは、この通り、非常にコンサルタントできますので、「ちょっとあの人は頼りになるわよ」と、口コミが広まります。
今後は、それでミャンマーなど外国の方を支えたりすることはできるのかなと思います。

ウィン:仕事の悩み相談だけでなく、留学生でも、日本とミャンマーとでは様々なことでやり方が全然違いますので、区役所で手続きをしたり、賃貸マンションを契約したりすることはなかなかハードルが高いです。学校に寮があるなら大丈夫ですが。

泉:大変ですよね。特定技能ですと、そのサポートが付きます。義務的支援といいます。皆さんがもっとも苦労する役所手続き、携帯契約、口座開設など、そのあたりは必要に応じて付き添うことが決められています。

ウィン:日本語学校もそのようなサポートがあると思います。
私は外国人として日本にきて、色々なことを経験できて良かったと思います。全然分からなかったことも分かって来て、前は1人で何かするのがとても怖かったですが、今は1人でも平気ですし、どこにでも行けます。それぐらい自信を持てるようになってきましたので、良かったかなと思っています。

栗原:ここに住んでいる日本に来てまだ1年の人が、先日銀行口座を作ろうとしていた時にも、ウィンさんがゆうちょ銀行なら口座を開設できますよとアドバイスしていました。こうしたアドバイスをしたり、実際について行ってあげたりします。

ウィン:その方は日本語があまり上手ではありませんでしたので、一緒に行きました。

泉:それは大変嬉しかったでしょうね。

ウィン:そうですね。最近は銀行では書類をミャンマー語にも翻訳してくれているみたいですね。前は英語と日本語だけでしたが、最近日本に来た後輩から聞きましたら、今はミャンマー語の翻訳が置いてあって、びっくりしたと言っていました。

泉:前はほとんどの外国人が中国、ベトナムの方でしたが、今はインドネシア、ネパール、ミャンマー、スリランカなどの方が、当所にも多くお問い合わせ頂いています。

ウィン:私も仕事で情報発信を担当していますので、自分から間違った情報を伝えたら大変です。
相談に来る人に、どのようなことがしたいのかを教えてもらい、では何々が必要ですと、伝えたりするようなことをしていきたいです。

泉:それは、ガイドのような業務で商売になりそうですね。
全く別件ですが、台湾でグルメガイドのアプリがあるらしくて、来日の際はそのアプリに載っている店に行く方が多いそうです。そのように、日本に来る人向けのガイド、アプリまたは雑誌などに、友心町家さんのことを言っておくといいかもしれませんよね。京都に来たら、まず友心町家に行くと色々と教えてもらえますよと言う風に宣伝できればいいですね。

ウィン:そうですね。この前も友達に一から十まで助けてあげてよと言われましたが、実際はそれにはお金が必要ですよと思いました。

栗原:全部ボランティアでしていますからね。もう少しきちんとビジネスとしてそうしたサポートやガイドをすればいいかもしれません。

泉:良いと思います。ガイドで一日どれぐらいの費用で、付き添いもするという風に決めるといいかもしれません。先ほどお話した特定技能の支援も有料で、付き添いで幾らなどと料金を請求していますので、そうしたガイドやサポートをビジネスでするのはありかもしれません。

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