お客様インタビュー|パスカル 様

HUMBRECHT PASCAL CLAEDEさんプロフィール

  • 国籍: フランス
  • 性別: 男性
  • 年齢: 49歳
  • 在留資格: 「技能」

 

観光で来日していた時に通っていた炭火焼ダイニング賑のオーナーである増田氏と知り合い、ちょうど増田氏が新店オープンを考えられていたため、せっかくなのでフレンチのビストロをやってみるか、ということで2020年10月Bistro Pascalをオープン。
コロナの緊急事態宣言や自粛要請を守り、大変な時期もありましたが乗り越え、地元岸和田の方に愛されるお店となっています。
日本人の好みも考慮して味付けにも工夫し、日本の食材も上手く活かした素敵なフレンチをぜひお楽しみください。

 

 

HUMBRECHT PASCAL CLAEDEさん|インタビュー

行政書士 泉:「日本に行きたい」と思ったきっかけを教えて下さい。

パスカル 様(以下 パ):日本が好きです。以前から、休みで、何度か観光で来ました。初めては10年くらい前に1ヶ月くらい来ていました。そのあと、6年前にも来ました。
子供の頃から日本が好きです。アニメとかが好きで、フランスでは全部のアニメイト(アニメ?)は日本のものです。
それから、子供の頃は、柔道をやっていました。フランスでは、みんな、サッカーか柔道をやります。私は柔道を。
そして、父が亡くなった時に、人生を変えたいと思って、行きたいと思っていた日本に、行こうと思いました。

泉:それで好きな日本に行こうと思ったんですね。

パ:フランスでも友達はみんな日本人です。

泉:そうなんですか?じゃあ、元々小さい頃から日本は近い存在だったんですね。
アニメの他に、日本の好きなところは何ですか?

パ:もちろん、料理は好きです。私は日本で、平和を感じます。礼儀や尊敬のところが好きです。フランスと全然違います。

泉:そうですか?逆にフランスこそレディファーストの国かと思いましたが。

パ:レディファーストはありますけれども。

泉:日本の料理や食べ物は大丈夫ですか?食べられます?

パ:大好きです。塩辛だけはだめです。あと、酒盗も。

翻訳・通訳・補助者 孫(以下 孫):お酒はお好きですか?

パ:酒は好きです。和食が好きです。魚、例えば刺身と日本酒の、マリアージュ、が好きです。食べ物とワインのマリアージュなら、魚だと白ワインですね。日本でも一緒です。でも辛口だけがすきです。

泉:酒盗とか、ほやとか、ほやは知っていますか?ほやという、魚の内臓を使った、同じようなすごく臭いものがあります。

パ:それはもう…多分だめです。魚は大好きです、バンバン食べても大丈夫ですが、中のものはダメです。あ、でも、肝はすきです。あん肝とか。あと、子持ち鮎とか、魚卵も大丈夫です。

 

泉:日本の食材はフランス料理にも使われますか?

パ:フランスで、例えば今はみんなゆずを使います、めっちゃおしゃれで、ハイレベルの店ですとゆずを使っているところが多いです。抹茶も、フィナンシエで、使います。きなこはまだ知られていませんが、抹茶、ゆずと醤油は、今はフランスでは多いです。
昔、しょうゆは1リットルでもめっちゃ安かったですが、今では、1リットル15ユーロです。めっちゃ高いです。びっくりしました。今はみんなが買おうとするから値段が上がりました。

泉:じゃ、しょうゆをお土産に持って帰ったらいいのでは?

パ:重たい、重たいです。

泉:パスカルさんのお店でもそういう、しょうゆなどは使っていますか?

パ:はい、日本にアダプト(適応)して、ミックスフランス料理と日本料理です。例えば、おでん。おでんを作って、ダシじゃなくて、例えばおでん大根はビストロパスカルでみんな一番好きです。ダシじゃなくてコンソメを使っています。それとちょっと醤油も。そのあと、上はポルチーニクリームソースとトリュフをかけて。それが一番人気です。

泉:聞いているだけでおいしそうですね。

パ:アダプトしないと、日本の方がメニューをみて、「何それ」となりますので、「フランスおでん」などにしますと、「あ、オッケーオッケー」になります。
パスタも、たらこパスタとかを出しています。例えば、フランスでは、本当のカルボナーラパスタは、卵の黄身だけです。日本はクリーム、と卵ですね。フランスのレシピで出しますと、初めてカルボナーラを注文したお客さんの顔をみたら、「え?」という感じで、大丈夫ですかとなります。今はチェンジです、クリームがある作り方に変更しました。
また、例えば、ポトフですと、フランスは、ブイヨンと野菜と大きいピースのビーフか、子牛、でも日本に子牛はないですね。日本のみんなはポトフというとソーセージですね。フランスのポトフと違います。でも、日本はお肉が高いです。

 

泉:メニューは全部パスカルさんが考えているんですか?

パ:はい。オーナーさんは、これがおいしいですかと聞いたら、「はいはい」といいます。いつも「グッドアイデア」と言ってくれますが、本当なのか知らん。

泉:オーナーさんが任せてくれるのはいいですね。

パ:でも、日本にはない、フランス野菜がたくさんあります。インポートはありますが、高すぎて。日本の野菜を使います。

泉:春菊とか?

パ:春菊、ごま油で調理するとおいしいですね。

孫:日本にないフランスではよく使われる野菜はどういうものがありますか?

泉:エシャロットとか?

パ:エシャロット、日本では高っ、めっちゃ高いです。探していましたが、見つからなくて。あ、二回ほどコストコで見つけましたが、高いです。でも、フランスはソースでたくさんエシャロットを使います。例えば、赤ワインソースもエシャロットを使います。

泉:今はエシャロットの代わりに何を使っていますか?

パ:たまねぎ。

泉:なるほど。エシャロットシャキシャキしておいしいですけどね。
香辛料とか香草とか、そういったものも高いですか?

パ:高いです。例えば、ナツメグ、フランスではマスカデナッツといいますが、もなかなか見つかりません。すりつぶして香りがいいです。たまに、カルディの店にあります。シナモンもバニラも高いですが、それはフランスでも高いです。

泉:材料がないものは、日本のもので工夫しているということですね。

パ:そうです。例えば、前はカモのコンフィも、フランスからのものを使っていましたが、今は手に入りませんので、ブラジルのものを使っています。本当はめっちゃくさくて、高いです。前は大きくて安いフランス産のものでしたが、今は小さくて高いです。

泉:日本のかもは、もっと高いからダメですか?

パ:そうです。でもおいしいです。

泉:うさぎとかも、日本では普通は手に入らないですよね?

パ:私、ウサギスペシャリストです。私の家族もうさぎのスペシャリストです。でも、ビストロでウサギを作ってみましたけど、お客さんが、「え、ウサギ食べるの?」となって、女性客は「かわいいのに」となります。

泉:食べるという発想はありませんね。

パ:もうやめました。おいしいですが。
ウサギは食べたことがあります?

孫:中国でもウサギ料理があって、結構人気だったりします。

パ:ウサギはジビエじゃない。臭くない。筋肉がピンクです。もっと大きいウサギで、野兎ですと、筋肉が赤で、ジビエです。そちらは臭いです。

泉:カナダでフランス料理食べた時は、カエルを食べましたけどね。カエルもなんか、鶏肉っぽいですね。カエルはおいしかったです。

孫:日本でも、カエルとか、エスカルゴは出していますか?

泉:エスカルゴは人気が出ると思います。

パ:バターで調理しますね。エスカルゴは店のメニューにあります。
でも、エスカルゴも無理でした。バイトの方に、今日の賄いは何ですかと聞かれて、エスカルゴだと分かったら、いや気持ち悪いとなりました。

泉:おいしいのにね。

パ:バゲットを付けたらおいしいですね。私の店も、エスカルゴとバケットで出していました。

泉:カンヌで食べましたよ。それと、ムール貝とバケットも食べました。あと、ブイヤベース。あんなにおいしいのは、日本ではなかなか食べられない。

パ:ブイヤベース、おいしいです。ブイヤベースはマルセーユ、フランスの南、が有名です。今は高いです。フランスのブイヤベースは高いです。色々な魚を使います。

泉:あと、クレームブリュレ?

孫:デザートもされていますか?

パ:はい。フォンデュショコラ、アーモンドケーキ、キャラメルプリン、チーズケーキも。

 

泉:日本で、行ってみたいと思う場所はありますか?

パ:日本の沢山の場所に行きました。北海道は行きたいです。まだ行ったことが無いです。
ずっと北のところとか。

孫:以前北海道に6年ぐらい住んでいました。

パ:雪が多いですね。電気代高いでしょうね

泉:日本のお寺とかどうですか。

パ:神社が好きです。毎月行っています。いつも月に一日は岸和田の近くの神社にいきます。商売がうまくいくようにと祈りに。
 
泉:次に、日本で生活する中で苦労したこと、しんどいこと、困ったことなどはありますか?

パ:全然問題ないです。No Problemです。

泉:変な話ですが、和式便所がありますけれども、あれしかないところもありますが、使ったことはありますか?

パ:全然大丈夫です。フランスで、古いスタイルのトイレですと、トゥッコトイレと言って、穴だけ、というのがあります。

泉:そうなんですか。

パ:ですから問題なしです。私は抵抗力があります、何でも大丈夫です。
一番難しいのは、漢字です。そこだけですね。
それから、例えば、毎年ビザ更新しますが、携帯契約の時は、外国人ですと、「在留カードください、あ、1年ですね」、と契約を断られたりします。それだけです。

 

泉:日本でまだまだしばらく長く働きたいと思うと思いますが、ずっとこのまま日本で働きたいと思っていますか

パ:フランスには帰りたくありません。本当に帰りたくないです。暴力が多すぎます。街中で、駅とかのところ、いつもグループがたむろしていて、喧嘩しますし、怖いです。フランス人の考え方は大きく変わりました。昔私の子供の時は、尊敬を大事にしていましたが、今はもうなしです、それはいらないと。ですから日本が好きです。そんなに帰りたくないです。友達には会いたいですが、それだけです。

泉:永住まで考えていますか

パ:そうです。日本に帰化したいです。

孫:申請には5年でしたね。

泉:ぜひ帰化していただいて、パスカルさんの2号店3号店を作ってください。

 

泉:短いスパンと長いスパンでの目標や夢はどのようなものがありますか?

パ:とりあえず、流暢な日本語を話したいです。それが一番目。で、ビジネスを成功させること。あと、自分の店を持ちたいです。

泉:社長も、そのうち「じゃ、独立して」と喜んでくれそうですよね。

パ:そうです。それが一番で、社長がうれしい、私もうれしい。
でも、日本語はまだ上手じゃなくて。

泉:大分ヒアリングは出来ている方だと思いますが、漢字ですかやはり。

パ:友達に、学習の本に係る仕事をする人がいて、その人に「すみません、最初の漢字の、子供用の本はありますか」と聞いて、「はい」とプレゼントしてもらいました。一、二、三、四、からやります。それでお勉強しています。

泉:子供用の漢字ドリルですね。頑張っていますね。
パスカルさんは、発音がきれいだと思います。結構、フランスや欧米の方は、ちょっと発音が聞き取りにくかったりしますが、パスカルさんはとてもなめらかで、聞きやすいです。
お店でもお客さんと会話していますか?

パ:会話は大丈夫です。たまにはすみません、分かりませんでしたということはありますが。岸和田弁が違いますので、「え?すみません、ここの言葉は知りません」と言います。
岸和田の人は口が悪いほうです。でも、心は暖かい。

泉:優しく温かい人が多いですよね。

パ:そうなんです。みんなから、「パスカル、何故岸和田が好き?」と聞かれます。私のふるさとの町フランスのリヨンと似ています。心が温かくて、口が悪くて。一緒です。

 

泉:最後に、フランスの方など、今後日本に初めてきたり、日本に住みたいだったりする方に、何かアドバイスはありませんか?

パ:私のアドバイスは、人を尊重し、礼儀正しくすること。それが一番です。「ローマにきたらローマの人がするようにする」ということわざのように。そうでなければ、フランスにいなさい

泉:厳しいですね。

パ:2,3年前に、梅田でいったお店で、そこに小さいグループのフランス人がいて、めっちゃくちゃ口が悪くて、日本人の悪口を言っていましたので、私がムカついていました。その時に、私の携帯が鳴って、フランスの友達でしたので、電話に出てフランス語で喋りました。それで、そのグループの人が「お、同じフランス人」と思ったらしく話しかけてきましたが、私は「すいませんわからん」とそっぽを向いてやりました。ここは日本だから、ちゃんとして、と言いたいです。その態度はいらん。日本の人がフランス人嫌いとなりますので。あかんあかん。

泉:なるほど、それを伝えたいと。立派ですね。ありがとうございます。

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